2020年1月24日(金)

UberEatsの配達員トラブルは減るのか?

昨年末、UberEats配達員に関するトラブルがTwitterなどSNSで拡散されて問題になった事は記憶に新しいと思います。

2020年〜今後はUberEatsの配達環境はどうなっていくのか?改善していくのか?ちょうど取材で本件について尋ねられたこともあり、解説していきます。

登場人物と論点の整理

・注文者

・店舗

・UberEats

・配達員

主に関係するのはこの4者であり、問題となっているのは配達員が問題行動を起こした時に、UberEatsがサポート対応をしないというのが、論点です。

あくまで配達員とは委任契約だからUberEats側は本件に関わらないと言ってサポートを放棄した件、が問題になっているわけですね。

 

UberEats側の言い分

配達員は事業主であって仕事を依頼している関係であり、UberEatsに言われても管理下にないから対応できない、警察を呼べ、というのがUberEats側の言い分ですね。

けれども例えるなら、ネット通販でみかんを注文した人が、「宅配業者がマンション共用部にみかんをぶちまけて帰った」と通販業者にクレームを入れたら、通販業者はきちんと謝罪して代用品を無償で再送しますよね。

日本とUber本社のある米国の価値観の違いなのかもしれません。

 

今後も同様の対応になるのか?

本題です。2020年もUberEatsは配達員が起こしたトラブルについてサポートを行わないのか。答えはYESです。

この問題を考えるためには、そもそもなぜUberEats側がサポートを行わないのか、根本的な構造を把握する必要があります。

1、UberEatsのサポート体制に難がある

UberEatsのサポートは、レストラン向け、ユーザー向け問わず質があまり良くありません。私自身もユーザー側と店舗側双方の立場で数十回のやりとりを経験していますが、毎回ストレスがたまります。マニュアルを読み上げてたらい回しにするイメージですね。

2、日本のUberEatsには決定権がない

日本のサポートであれば日本式で対応してほしいものですが、Uberは米国企業でUberジャパンはその子会社である以上、子会社では勝手な対応ができないということもあるのでしょう。今回の配達員の不始末を切り捨てるやり方も、普通に考えれば配達員が注文したみかんがぶちまけるミスをしたら、通販業者が謝罪するのは当然のことです。掃除を誰がやるのかは、通販業者が配達員に連絡してやらせる又は費用と取るかたちでしょうか。

3、サポートの人数が足りていない

サポートが国内にいるのか、構造的な話は良くわからないのですがUberEatsのサポート電話は0.5秒遅れで繋がるので会話が途切れ途切れで通話品質は良くありません。また、そもそもの話ですが、店舗サポート、ユーザーサポート共に電話しても「ただいま混み合っています」と取り次がれないことが多くあります。

このような状況下では、しっかりとしたサポートができないもの仕方がないのかもしれません。

4、料金の値上げをしたくない

サポート体制を充実させればいいようにも思えるのですが、Uberはこれ以上コストをかけることが難しい状況です。1つは上場してしまったために利益を出さなければならないこと、2つめは、競争環境が各国で激しくなってきているということ。ライドシェアもキツイのでEatsも頑張る必要があるわけです。インドではEats部門を国内の競合に売っちゃいましたし。

日本でも2020年は大小様々な規模であと5社程度は、フードデリバリー業者の参入が予想されています。その時に、もしもUberEatsだけが配送料が高かったらユーザーは他のフードデリバリーアプリを使うかもしれません。UberEatsはこれ以上の値上げができないという状況なのは間違いありません。

5、配達人の人数が全く足りていない

そして配達員が足りていない以上は、配達員が嫌がるような体制は取りづらいということも容易に想像がつきます。ただでさえ手が少ないのに、配達員の責任を増やしたり、配達員が顧客から怒られる機会を増やす仕組みにしたら、配達員のUberEats離れが起きてますます人手が足りなくなってしまいます。

現在、弊社で運営しているゴーストレストランでは、雨の日の売り上げは 1/3以下です。雨だと注文者が増えて売り上げがあがるとお思いかもしれませんが、雨だと配達員が減るわけですね。店舗が稼げないとUberEatsにも手数料は入りません。

配達員の確保が死活問題だとすると、配達員をかばう方向での解決方法がサポートマニュアルにあってもおかしくはありません。

 

結論:今後もこの状態が継続する

1月のとある日に私がユーザーとして注文した品は、私のマンションの近くで「配達完了」とボタンが押されたまま配達されませんでした。サポートにも電話をしたのですがやはり「混み合っています」。ヘルプの別項目からmsgを送っておいたところ、数時間後に謝罪の内容と500円分のクーポンが送られてきました。

少なくとも2020年はこの状態が続くものだと思われます。気になるのは、あと5社参入すると言われているフードデリバリー競合の話。もし、その競合が100%丁寧な対応をする配達員とサポート体制を構築できるとしたら、UberEats離れはすぐに起きてしまうでしょう。

最後に一つだけ身を守るための対策をお伝えするとしたら、過度な期待をしないことでしょうか。ちゃんと運ばれてくる可能性は95%ぐらいと最初からあきらめましょう。

春頃には、私の予想が外れていることを願いたいものです。

記事を書いた人: にゃんこ先生

外食産業のデジタルトランスフォーメーションに詳しい専門家。フードデリバリー、ゴーストレストラン、クラウドキッチンについて、自らもゴーストレストランを運営するなど、業界の中から実際に体験した情報を発信。ねこ好きの犬派。